a-1 知的財産権
-
正誤表
-
著作権法改正へのキャッチアップ
著作物
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048#5
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
著作物の例
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048#5
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
著作物でないものの例
著作物の定義を満たさないもの
-
単なるデータ
- 「思想又は感情」を表現したものでない
-
アイデア
- 思想又は感情をまだ「表現」していない
-
単なる模倣
- 思想又は感情を「創作的に」表現していない
-
工業製品等
- 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」でない
例外: 「データベースの著作物」
「情報の選択または体系的な構成によって創作性を有する」ことが認められる
IT、Web界隈での例
- コンセプト自体
- レイアウト
- 画風/書風
- プログラム言語
- アルゴリズム
- 誰が作成しても同じような表現になるもの
前述の著作物の定義を満たすが、著作権法上で名指しで除外されているもの
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu.html
第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
一 憲法その他の法令
二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
- 【所感】「思想又は感情を創作的に表現したもの」でないのでそもそも著作物の定義を満たさないと思っていたが、そうでもない?
著作者について
-
日本国はじめベルヌ条約加盟国においては、著作権は「無方式主義」
- 創作した時点で自動的に著作財産権/著作者人格権が生ずる
- cf. 産業財産権は出願申請、審査、登録等必要
-
©表示の効果があるのは方式主義を採用している場合のみ
- 「万国著作権条約」のみに加入しているケース
- 「著作権者と発行年を表示する」という機能目的で無方式主義国でも使われてはいる
-
優劣、芸術性、新規性などは問題とされない
- 幼稚園児のお絵かきや小学生の作文にも著作権は自動的に生ずる
職務著作/法人著作
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
以下要件をすべて満たした場合に限り、所属する法人等が著作者となる
- 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づき
- その法人等の業務に従事する者が
- 職務上作成する
- その法人等が自己の著作の名義の下に公表する
- その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない
その法人等が自己の著作の名義の下に公表する
プログラムの著作物の場合は公開しない場合も多いのでこの条件は満たさなくてもよい
【所感】入社時に押印させられる「私が業務時間に書いたコードは会社のものです」という書類は著作権上不要なんですね
保護期間
保護期間 | ||
---|---|---|
著作物 | 実名 | 著作者の死後70年 |
無名・変名 | 公表後70年 | |
団体名義 | 公表後70年 | |
映画 | 公表後70年 | |
著作隣接権 | 実演,レコード | 実演,発売後70年 |
放送・有線放送 | 放送後50年 |
-
太字は2018年12月30日に施行された改正
- 全体的に長くなっている
- 存続期間が経過すれば権利は消滅し、パブリックドメインとして誰でも事由に利用できるようになる
第五款 著作権の制限
- 第五十条:(著作者人格権との関係)
この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
- 第三十条(私的使用のための複製)
-
第三十条の二(付随対象著作物の利用)
- 写真の映り込みとか
- 第三十条の三:(検討の過程における利用)
- 第三十条の四:(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合 二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合 三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
大幅改定箇所
【所感】画像検索できる検索エンジンサービスとかはOKってことかな
- 第三十一条:(図書館等における複製等)
- 第三十二条:(引用)
- 第三十三条:(教科用図書等への掲載)
- 第三十三条の二:(教科用図書代替教材への掲載等)
- 第三十四条:(学校教育番組の放送等)
- 第三十五条:(学校その他の教育機関における複製等)
- 第三十六条:(試験問題としての複製等)
- 第三十七条:(視覚障害者等のための複製等)
公表された著作物は、点字により複製することができる。
- 第三十七条の二:(聴覚障害者等のための複製等)
- 第三十八条:(営利を目的としない上演等)
- 第三十九条:(時事問題に関する論説の転載等)
- 第四十条:(政治上の演説等の利用)
- 第四十一条:(時事の事件の報道のための利用)
- 第四十二条:(裁判手続等における複製)
- 第四十二条の二:(行政機関情報公開法等による開示のための利用)
- 第四十二条の三:(公文書管理法等による保存等のための利用)
- 第四十三条:(国立国会図書館法によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製)
- 第四十四条:(放送事業者等による一時的固定)
- 第四十五条:(美術の著作物等の原作品の所有者による展示)
- 第四十六条:(公開の美術の著作物等の利用)
建築の著作物や屋外に恒常的に設置されている公開の著作物に関しては、自由に写真撮影したりイラストを書いたりして利用できる
- 第四十七条:(美術の著作物等の展示に伴う複製等)
- 第四十七条の二:(美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等)
- 第四十七条の三:(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
- 第四十七条の四:(電子計算機における著作物の利用に付随する利用等)
電子計算機における利用(情報通信の技術を利用する方法による利用を含む。以下この条において同じ。)に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を円滑又は効率的に行うために当該電子計算機における利用に付随する利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合において、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑又は効率的に行うために当該著作物を当該電子計算機の記録媒体に記録するとき。
二 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該他人の自動公衆送信の遅滞若しくは障害を防止し、又は送信可能化された著作物の自動公衆送信を中継するための送信を効率的に行うために、これらの自動公衆送信のために送信可能化された著作物を記録媒体に記録する場合
三 情報通信の技術を利用する方法により情報を提供する場合において、当該提供を円滑又は効率的に行うための準備に必要な電子計算機による情報処理を行うことを目的として記録媒体への記録又は翻案を行うとき。2 電子計算機における利用に供される著作物は、次に掲げる場合その他これらと同様に当該著作物の電子計算機における利用を行うことができる状態を維持し、又は当該状態に回復することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 記録媒体を内蔵する機器の保守又は修理を行うために当該機器に内蔵する記録媒体(以下この号及び次号において「内蔵記録媒体」という。)に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録する場合
二 記録媒体を内蔵する機器をこれと同様の機能を有する機器と交換するためにその内蔵記録媒体に記録されている著作物を当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同様の機能を有する機器の内蔵記録媒体に記録する場合
三 自動公衆送信装置を他人の自動公衆送信の用に供することを業として行う者が、当該自動公衆送信装置により送信可能化された著作物の複製物が滅失し、又は毀損した場合の復旧の用に供するために当該著作物を記録媒体に記録するとき。
要するに「キャッシュ」「バックアップ」はセーフってこと。以前は第四十七条の五、八、九だったものが統合された
- 第四十七条の五:(電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等)
電子計算機を用いた情報処理により新たな知見又は情報を創出することによつて著作物の利用の促進に資する次の各号に掲げる行為を行う者(当該行為の一部を行う者を含み、当該行為を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆への提供又は提示(送信可能化を含む。以下この条において同じ。)が行われた著作物(以下この条及び次条第二項第二号において「公衆提供提示著作物」という。)(公表された著作物又は送信可能化された著作物に限る。)について、当該各号に掲げる行為の目的上必要と認められる限度において、当該行為に付随して、いずれの方法によるかを問わず、利用(当該公衆提供提示著作物のうちその利用に供される部分の占める割合、その利用に供される部分の量、その利用に供される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものに限る。以下この条において「軽微利用」という。)を行うことができる。ただし、当該公衆提供提示著作物に係る公衆への提供又は提示が著作権を侵害するものであること(国外で行われた公衆への提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものであること)を知りながら当該軽微利用を行う場合その他当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該軽微利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 電子計算機を用いて、検索により求める情報(以下この号において「検索情報」という。)が記録された著作物の題号又は著作者名、送信可能化された検索情報に係る送信元識別符号(自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。)その他の検索情報の特定又は所在に関する情報を検索し、及びその結果を提供すること。
二 電子計算機による情報解析を行い、及びその結果を提供すること。
三 前二号に掲げるもののほか、電子計算機による情報処理により、新たな知見又は情報を創出し、及びその結果を提供する行為であつて、国民生活の利便性の向上に寄与するものとして政令で定めるもの
2 前項各号に掲げる行為の準備を行う者(当該行為の準備のための情報の収集、整理及び提供を政令で定める基準に従つて行う者に限る。)は、公衆提供提示著作物について、同項の規定による軽微利用の準備のために必要と認められる限度において、複製若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この項及び次条第二項第二号において同じ。)を行い、又はその複製物による頒布を行うことができる。ただし、当該公衆提供提示著作物の種類及び用途並びに当該複製又は頒布の部数及び当該複製、公衆送信又は頒布の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
以前は第四十七条の六だったもの。 【所感】Google Booksなどがこれにあたる?(書籍を検索できて目次とかが少し読める)
- 第四十七条の六:(翻訳、翻案等による利用)
- 第四十七条の七:(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
- 第四十八条:(出所の明示)
- 第四十九条:(複製物の目的外使用等)
侵害行為
2018年12月30日施行の改正により、一部非親告罪になった
第八章 罰則
…
第百二十三条 第百十九条、第百二十条の二第三号及び第四号、第百二十一条の二並びに前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 前項の規定は、次に掲げる行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的で、次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第百十九条第一項の罪については、適用しない。
一 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。次号において同じ。)を行うこと(当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。
二 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること(当該有償著作物等の種類及び用途、当該複製の部数及び態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。
3 前項に規定する有償著作物等とは、著作物又は実演等(著作権、出版権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するもの(国外で行われた提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきもの)を除く。)をいう。
4 無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物に係る第一項に規定する罪について告訴をすることができる。ただし、第百十八条第一項ただし書に規定する場合及び当該告訴が著作者の明示した意思に反する場合は、この限りでない。
以下をすべて満たすと非親告罪になる:
- 財産上の利益を受ける目的 または 著作権者が得るはずの利益を害する目的
- 原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡または公衆送信
- 著作権者が得るはずの利益が不当に害される
この場合、複製行為そのものも罪になる
非親告罪となる侵害行為の例
- 漫画の海賊版を販売
- 映画の海賊版をネット配信
親告罪のままとなる侵害行為の例
-
同人誌を即売会で販売
- 「原作のまま」でない
-
漫画のパロディをブログに投稿
- 「原作のまま」でない